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一期一会の本と日常のおはなし

【ろくべえまってろよ】灰谷健次郎さん初めての絵本

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「ろくべえまってろよ」

みるみる絵本

(文研出版 2009年11月 第78刷) 

作  灰谷健次郎  

絵 長新太

「兎の目」の作者・灰谷健次郎さんの初めての絵本です。

どんな絵本…

ろくべえは表紙絵の小犬

深いに落ちてしまって

それを見つけた子どもたちが

穴の入口に集まって心配しながら

ろくべえに声を掛けています。

 

表紙を開いた次頁の絵は

穴だと知らなかったら何だかわからないかも。

 

紙面中央に描かれた

薄茶色の縦長の筒のようなもの

その筒を囲む濃い茶色の壁

 

その薄茶の筒状部分に

きょゆーん わんわん

きょゆーん わんわん

と白い文字が書かれているだけなので。

どんな物語…

お話しはこんなふうにはじまります。

 ろくべえが、あなに おちているのを、

さいしょに みつけたのは、えいじくんです。

「まぬけ。」

と、かんちゃんが いいました。

 

この絵本、ずーっと穴の断面図と、その穴を

心配そうに眉毛を寄せてのぞき込む子どもたち

描かれ続けます。

 

 いぬのくせに、あなに おちるなんて、

じっさい、まぬけです。

 あなは、ふかくて、まっくらです。

 なきごえで、ろくべえ という ことは、

わかりますが、すがたは、みえません。

 

なんとか助けたいと子どもたちは

いろいろな方法を考えては試してみます。

 

まず

一生懸命ろくべえに励ましの声をかけます。

 

それから

お母さんたちを呼んでみたり

 

静かになってしまったろくべえに

歌をうたってあげた

 

ろくべえが好きだからと

シャボン玉を飛ばした

 

みんなであの手この手を考え出しては

やってみますが、なかなかうまくいきません。

 

ろくべえ、どうなっちゃうの?



どんなに難しくても子どもたちは諦めません。

ろくべえを助けたい一心です。

 

あたまが いたくなるほど、かんがえました。

 

ついに、かんちゃんに名案が浮かびます。

みんなで協力してそれを実行することに…

 

私もなぜか最初から最後まで

子どもたちと一緒に

息詰まる思いで穴を見つめてしまいました。

作者のことばを…

本書の裏見開きに記されていた

作者灰谷健次郎さんの

子どもたちに向けてのメッセージを

ご紹介したいと思います。

 ぼくはむかし、こじきのオッサンに、たすけてもらったことがあります。15さいのとき、なんきんまめやを おいだされ、ねるところも、たべるものもなくて ないていました。こじきのオッサンは、ぼくに ムシロをかしてくれました。あたたかいサトウゆを、つくってくれました。うちにかえるでんしゃちんまでくれました。そんなことがあるので、ぼくには ろくべえのうれしいきもちが よくわかります。ろくべえ よかったなぁ。

穴に落ちたことや

南京豆屋を追い出されたことはないけど

誰かに助けてもらったことは

私も数々あります。

穴を見つめる間、知らず知らずのうちに

そのときの気持ちがよみがえっていたようです。