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一期一会の本と日常のおはなし

【ロサリンドの庭】エルサ・ベスコフの童話

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もしかしたら私の家の壁の奥にあるかも?

「ロサリンドの庭」

あすなろ書房 2021年2月 初版) 

文 エルサ・ベスコフ 

訳 菱木晃子  

絵 上垣歩子

作者のエルサ・ベスコフさんは

スウェーデンの国民的絵本作家

として知られている方。

 

本書は北欧で読み継がれてきた

本邦初翻訳の

知られざる名作だそうです。

どんなストーリー…

6歳のラーシュ・エリック

体が弱く病気がちな男の子。

お母さんとふたりきりで屋根裏部屋に住んでいます。

 

お母さんが働きに行っている間

一日の大半を

ひとりぼっちで

ベットに横になって過ごします。

 

簡素な部屋ですが、たまに光が差し込むと

部屋の壁紙がとても美しくみえて

ラーシュ・エリックの

ただひとつのなぐさめでした。

 

見たこともないような美しい花々や

青い小鳥が描かれた壁紙を見ていると

ある日突然その壁にドアが現れて

そこから女の子が出てきます。

 

その女の子こそサリンでした。

 

茶色の短い巻き髪が揺れる

バラ色の頬をした

壁紙と同じ模様のワンピースを着た女の子と

ラーシュ・エリックは

すぐに打ち解けて仲良しに。

 

サリンドとの交流を通して

ラーシュ・エリックは徐々に

元気を取り戻していきます。

 

その様子が

美しい庭の景色や

楽しいジャム作りなどの描写とともに

描かれていきます。

 

サリンドは

ラーシュ・エリックの夢なのでしょうか。

それとも妖精のような存在?

 

現実なのか夢なのか

それはどちらでもいいのかもしれません。

何者なのかなんて、取るに足らないこと

サリンドはロサリンなのですから。

 

孤独なラーシュ・エリックに寄り添い

ともに笑い、遊び、ときには大掃除

サリンドの庭で植物たちに水をやったり

にわとりの世話をしたり。

 

楽しい日々を過ごしながら

生活していくうえで大切なことを

ラーシュ・エリックはいつの間にか

身につけていました。

そのことが何より大切なこと。

物語の行方は…

サリンドと楽しい日々を送っていた

ラーシュ・エリックですが

住む部屋が取り壊されることになります。

 

ある不思議な出来事をきっかけに

ふたりはお母さんの田舎の家に引っ越すことに。

 

引っ越しはロサリンドとの別れの時でもありましたが

サリンドは

ラーシュ・エリックの引っ越し先に

最高に素敵なプレゼントを用意していました。

 

そして月日が過ぎて…

 

サリンドはいつまでもいつまでも

ラーシュ・エリックを見守ってくれています。

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