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一期一会の本と日常のおはなし

【おそばのくきはなぜあかい】《なぜ》の日本昔話

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そういえば最近食べてない、食べなくちゃ。

「おそばのくきはなぜあかい」

にほんむかしばなし 

岩波の子どもの本

岩波書店 1954年9月 第1刷)

文 石井桃子 

 絵 初山滋

どんな昔ばなし…

本書には三つのお話しが掲載されています。

三つのお話しの共通点は「なぜ」です。

 

第一話 おそばのくきはなぜあかい

第二話 おししのくびはなぜあかい

第三話 うみのみずはなぜからい

 

初版が1954年の作品ですが

その絵はポップで斬新な感じ。

 

第一話で登場するキャラクターは

おそばむぎですが

細い線で輪郭が描かれ、その姿形は

それぞれ西洋のおとぎの国の妖精のようです。

 

第二話、第三話の絵も遊び心満載な雰囲気。

第二話のししは獅子のことですが

ラインマーカー線で一筆書きされたような表現です。

どんな物語…

第一話の「おそばのくきはなぜあかい」のはじまりは

むかし むかし おおむかし、くさや 木が、まだ くちを きいていた ころのおはなしです。

ふゆの ある さむい 日の ことでした。おおきな かわの そばで、おそばと むぎが はなしを していました。

おそばとむぎは、どんな話をしていたんでしょうね。

世間話?天気のこと?

 

そこにいかにも訳ありげな感じの

しろい ひげを むねまで たらした、

たいへん としとった おじいさん

があらわれて、ふたりに頼みごとをします。

 

むぎは断りますが、

おそばはおじいさんの頼みを聞き入れて…

 

きっとみなさんも想像しているのではないか

と思いますが、このおじいさんは神様でした。

それも穀物の神様。

 

頼みを聞いて足を真っ赤にさせながら

寒い川を渡ったおそばには褒美

断った不親切なむぎには仕打ちが

与えられることになりました。

 

真っ赤な足も治してあげたら…

なんてことは余計なお世話かな。

 

第二話 「おししのくびはなぜあかい」は

お祭りの時に被る獅子舞の獅子頭がなぜ赤いのか

 

物語の結末が大胆でちょっとびっくり。

強さを見せつけようとした獅子が、

自分の力によって

自らの首を刎ねてしまうという怖いお話しです。



第三話 「うみのみずはなぜからい」は

お金持ちの意地悪お兄さんと

貧乏な心優しい弟の話。

 

欲の深いお兄さんが最後は懲らしめられて

溢れる塩とともに海の底に沈んでしまいます。

どのお話しも面白さと怖さが共存しています。

 

ところで…

農林水産省のサイトに

おそばのくきはなぜ赤いのですか

という質問の答えが載っていました。

その答えは

そばにはアントシアニンという色素(しきそ)があるためです。

さむくなると、アントシアニンが茎のところにできて、赤くなります。

さむくなる秋まきそばに見られます。

目にも良さそうなですね。