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一期一会の本と日常のおはなし

【方言でたのしむイソップ物語】安野光雅さんの本

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方言といえば何弁を思い出しますか。

「方言でたのしむイソップ物語

平凡社 2018年7月 初版第1刷)

 絵・文 安野光雅

どんな本でしょう…

児童書の扱いになっていますが、一般書としても。

 

この本は

草本 伊曽保物語」を参考にした

イソップ物語です。

 

本編のはじまりに

以下の伊曽保物語は、方言を大切にする試みです。

とあります。

    

方言で語られるイソップ物語70話

プラスあとがき4話と、その合間に

ミニコラムが数話折り込まれています。

 

イソップ物語はご存じの方も多いかと思います。

骨をくわえた犬が

水面に映った自分の姿を別の犬と勘違いして

そっちの骨もよこせと言おうと口を開いて

骨を水中に落っことしてしまうという、アレです。

 

どこかで聞いたことがあるような

ウイットに富んだ短編集です。

方言はというと

作者が生まれた島根県津和野弁が多いので

こちら方面の地域に所縁のある方には

親しみやすいかも。

 

私は東北地方のため

馴染みのない津和野弁による表現に

なかなか慣れないまま読了となりました。

    

作者の安野光雅さんもあとがきに、

…あとでわかったことは、方言と標準語との間にはどうも共通の世界が少なくて、思いきっていうと、方言を文字で記録することは不可能に近いことがわかった。しかし言い出したのはわたしだったから、自分が生まれた津和野の言葉で書けるところを書いて責任を逃れようとした。…

と書いています。

 

方言は独特のイントネーションがあり

それが大事な特徴となっていると思います。

私の場合は津和野弁のイントネーションが

わからず調子が出ませんでした。

翻訳にチャレンジ…

ですが、方言で書くのは面白そう。

本書の一番短いお話しを

私のネイティブ方言で翻訳してみることに。

 

鷲と蝸牛の事」を

まずは安野光雅さんの作品

 ある日、鷲が蝸牛りゅー見つけて、食おうとしたけど食えんかった。他の鳥がそばから「わしに(こりゃあ私にといういみでね)その半分をくださりゃあ、いい方法をおしえますが」「その蝸牛を咥えたまんま飛び上がり、石の上に落としんされえ」と言ったので、鷲は言うとおりにしたんじゃげな。ほいたら蝸牛の殻はかんたんに割れた。

 

それでは

東北地方のとある地域の方言

ある日、鷲が蝸牛をめっけで、食おうとしたけど食わんにがった。他の鳥がそばから「おれに(これは私といういみだぞい)その半分をくれっこっちゃ、いい方法をおしえっつぉい」「その蝸牛を咥えたまんま飛び上がり、石の上に落とせばいいべした」と言ったので、鷲は言うとおりにしたんだど。そしたらば蝸牛の殻はかんたんに割れた。

 

…実際やってみると結構難しいです。

ネイティブのはずなのに自信が無くなってきました。

安野光雅さん、相当ご苦労されたんじゃ?

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