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一期一会の本と日常のおはなし

【しずかなおはなし】60年前のソビエトの絵本

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小さな世界の静かで厳かな営み。

「しずかなおはなし」

世界傑作絵本シリーズ・ソビエトの絵本 

読んであげるなら 3才から 

じぶんで読むなら 小学校初級むき 

福音館書店 1963年12月発行) 

文 サムイル・マルシャーク  

絵 ウラジミル・レーベデフ  

訳 うちだ りさこ

しずかな しずかなおはなしですが

決してただしずかなだけではないのです。

おだやかなだけでもなく

身が引き締まるような恐ろしさが

当たり前の日常のように存在しています。

さすが!やっぱすごい奥深いな~

ソビエトの絵本と思いました。

どんなストーリー…

森に住むはりねずみのお父さんお母さん

そして小さな坊やの三人家族の

これは特別な日ではない

日常のおはなしだと思います。

 

はじまりの文を少しだけ

ちいさな こえで よむ おはなし。

そっと そっと そっと・・・・・・

はいいろの はりねずみたちの

しずかな しずかな おはなし。

 

はりねずみの かぞくが すんでいた。

とうさんと かあさんと ぼうやの はりねずみ。

しずかな しずかな はりねずみ。

ぼうやも しずかな はりねずみ。

 

こんなふうに、おだやかでありそうで

なにかが起こりそうな予感も含んだはじまりです。

 

真夜中の秋の小道を歩く

はりねずみの家族が遭遇したのは

お腹を空かせた二頭のオオカミ

 

そこでも

しずかな しずかな攻防が繰り広げられるのです。

感想を…

これはきっと本当にある森の営みの一場面

しずかに しずかに 

人には見られることも知られることもない場所で

毎日いつもどこかで 

こんな日常が送られているんだと思います。

 

そして

圧倒的な脅威に

自分の小さな小さな抵抗力で耐え切るすがたに

極寒の国の気風を見た気がしました。

 

初版は1963年、

手にしたものは1985年の第46刷版。

長く読み継がれている絵本です。

 

生きものの営みに向ける目線が

淡々としていて普遍的です。

 

短くて簡単な文章で

しずかに しずかに

本質をザクリと切り取った描き方に

感動しました。

本書について…

裏表紙を見ると

国学図書館協議会選定「基本図書」、

厚生省中央児童福祉審議会推薦、

日本図書館協会選定…などとありました。

 

この非常に抑制のきいた語り口と

そこに添えられた

物静かな絵から受け取るメッセージは

読んだ子どもたちの心の奥底に

しずかに しずかに

いつまでも残り続けることでしょう。