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一期一会の本と日常のおはなし

中国のむかしばなし

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ふとテレビを見ていると、「今日何食べようって思ってるときが、しあわせだな~って思います」とCMで言ってました。同感です。何食べよう。

中国のむかしばなし「巨人グミヤーと太陽と月」(岩波書店 2000年1月第1刷)文 君島久子  絵 小野かおる

古い民族の伝承神話…

この絵本は、中国南方の少数民族のひとつ、プーラン族(布朗族)に伝わる創世神話を著者が翻訳したものです。

 

遥か昔のこと、そこには天も地もなく、ただ黒々とした空間があっただけ。

神の巨人グミヤーは、天と地と鳥やけもの、そして人間を作ろうと思い立ちます。

材料は大きなサイのようなけものとウミガメです…

 

プーラン族は独自の言語を話しますが、文字はありません。この神話は遠い昔から長い年月を口誦で伝承されてきました。

どうでしょう、伝言ゲームでよくあるように、長い間には物語は少しずつ変化したりしなかったのかな。それとも初めて語られたときのままなのでしょうか。

 

神の巨人グミヤーの創った天地を、快く思わないものたちがいました。

それは、太陽の9人姉妹と月の10人兄弟。

いっせいにグミヤーの創った天地におしかけて、熱波でめちゃくちゃにしてしまいます。

 

熱・・・なんだか、「地球温暖化」という言葉を思い出しました。

 

怒ったグミヤーは、大きな弓矢で8人の太陽と9人の月を打ち落とします。

残った太陽と月が遠くへ逃げ去ると、今度は地球が寒くて真っ暗に。

さて、グミヤーがのどかな天地を取り戻すためしたことは…

 

中国の創世神話のなかには、太陽や月を射落とす射日(しゃじつ)神話がしばしば登場します。なかでも本書の神話は、射ったその後が語られていて貴重なものです。

日本神話のなかの「天の岩戸」にも似た展開のこの神話、中国と日本の繋がりを感じながら読むと一層面白そうです。

著者について…

翻訳者:君島久子は、1925年栃木県生まれ。日本の中国文学者・民俗学者。「白いりゅう黒いりゅう」「中国の神話」でサンケイ児童出版文化賞、「西遊記」で日本翻訳文化賞を受賞。中国の昔話・民話の翻訳、研究著書多数。

 

絵:小野かおるは、1930年東京都生まれ。日本の絵本作家、画家、スペースデザイナー。絵本の著書多数。2020年逝去。

本書では神話の世界が躍動感ある表現で描かれています。クレバスで描いたような独特の粗い太線。太陽や月にも目鼻口があって表情豊か。人間もけものも、そこにある全てのものたちの原始的なエネルギーを感じる絵です。

プーラン族について…

のびのびとしたこの創世神話を伝えたプーラン族について、もう少し詳しく知りたくなりました。

leveragescareer.com

参考にしたこちらのサイトによると、現在中国には55の少数民族が存在します。

プーラン族は、人口約9万人、雲南省シーサンパンナ・タイ族自治州に主に居住しています。温暖な気候で、早くから茶の栽培を始めプーアル茶の有名な産地でもあります。

また、プーラン族は、言葉を覚えると同時に歌を歌い、歌で気持ちを伝える民族と言われています。こちらの動画が一番プーラン族の自然な様子に見えました。お祝いそれともお祭りでしょうか。踊りが、日本の盆踊りにどこか似ているような気がします。

www.youtube.com