hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【じごくのそうべえ】上方落語・地獄八景より

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

地獄ってこんな感じなの?

「じごくのそうべえ」

桂米朝上方落語・地獄八景より

童心社 1978年5月1日 初版発行)

作 田島征彦(たじま ゆきひこ)

 

どんな絵本…

上方落語「地獄八景亡者戯」

(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)

を基にした絵本です。

 

三途の川を皮切りに、

エンマ大王やら糞尿地獄やら

人呑鬼(じんどんき)といった

恐ろしい地獄絵図が描かれていますが、

とっても楽しく読めました。

 

第1回絵本にっぽん賞を受賞した作品です。

 

どんなお話…

ひょんなことから死んでしまって

おまけにエンマ大王の

どうにもいい加減な裁定によって

地獄行きとなったのは

 

軽業師の「そうべえ」

歯抜き師の「しかい」

医者の「ちくあん」

山伏の「ふっかい」

 

あまりはっきりした理由もないまま

地獄行きが決まった4人。

 

食べられたり茹でられたりするのですが

4人ともされるままにはなっていません。

 

あーされれば、こーすると

自分の特技を活かして

鬼たちのお仕置きに対抗します。

すると…

 

絵の見どころも…

なんと言っても力強くもユニークな筆づかい。

物語を盛り上げる迫力あるイラストです。

 

鬼の表情が恐いけど今ならキモカワ?

赤鬼、青鬼だけでなく

ピンクやイエロー、グリーンの鬼もいます。

 

真っ赤に燃え盛る鬼火の勢いに圧倒され

大きな二本の角に鋭い牙の生えた人呑鬼の

お腹の断面図に笑いがこみあげます

 

読後の感想を…

地獄行きが決まるのは

エンマ大王の気分次第で

この世の善行云々ではなかったの?

 

三途の川は舟で渡るみたいですが

舟から川へ落っこちてしまうと

生き返ってしまうそうです。

これはぜひ覚えておいたほうがいいですね。

f:id:tokinoakari:20230817071741j:image

私は怖がりだったこともあってか

子どもの頃お祖父さんやお祖母さんから

地獄の話を聞いたことはありませんでした。

みなさんはどうですか。

いたずらすると閻魔様に舌を抜かれるぞ~

とか言われたことあります?

 

今となってみれば

そんな物語による恐怖体験も

もしかしたら地獄界より魑魅魍魎な

人間界をたくましく生き抜くための

一助になることもあるかと

だいぶ大人になりはてて恐さを全く感じず

愉快さばかりで絵本を読み終えて思いました。