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一期一会の本と日常のおはなし

【とんとんみー と きじむなー】沖縄の昔話

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小さな心優しい妖怪きじむなーだよ

「とんとんみー と きじむなー」

絵本・ちいさななかまたち

童心社 1987年3月10日 第1刷発行)

作 田島征彦

 

以前記事にした「じごくのそうべえ」の作者

田島征彦さんの作品。

面白いタイトルに魅かれて読んでみました。

tokinoakari.hatenablog.com

 

どんなお話…

沖縄の島々に生えているアダンの木

ご存知でしょうか

 

見た目がパイナップルに似ていて

トゲトゲの葉が特徴です

「アダン」は「阿壇」と書きます

タコノキ科タコノキ属の常緑小高木

夏になると実は黄色く熟して甘い芳香を放ち

ヤシガニの大好物です

 

本作は

今では沖縄のあちこちに生えているアダンの木が

まだ一本も無かったころのお話です

 

小さな島の丘にガジュマルの木が立っていました

そこに住んでいたのが「きじむなー

 

全身真っ赤なもじゃもじゃの顔の

シーサーの子供のような姿

夜になると不思議な力で動き回ります

 

きじむなーには親友がいます

それが「とんとんみー

この絵本のなかでは

川に住む小さな黄色いお魚風の生き物

何匹もでクルクルといそがしく

泳ぎ回る姿が可愛らしい

 

ところがある日ひとりの男の子によって

とんとんみー達は捕らえられ

きじむなーが助けに駆けつけた頃には

天ぷらにされてしまっていました…

 

このお話の魅力は…

病気の母のため一生懸命

いそがしく働く姿が似ていることから

「とんとんみー」と呼ばれる男の子

 

温かい心を持った樹木の精霊

「きじむなー」の出会いと友情を描いたお話

 

ちょっとやそっとの友情じゃないですよ

お互い危険を顧みず相手を助け

身を挺して相手を守ります

 

物語の最後に自分の体を変えてまで

男の子を守った「きじむなー」

 

その変化した姿こそがアダンの木でした

 

アダンの木は今では沖縄の島々に根を張り

実や柔らかい葉が食用にもなり

また帽子や敷物として活用されたり

その幹は家の柱にもなります

 

こうしてアダンの木「きじむなー」は

沖縄の人々をずっと守り続けているのです

 

素朴で、ときに神秘的

ときに荒々しいダイナミックな表現が

沖縄の鮮やかな南国の自然を

すぐ近くに感じられる絵も見応えがあります

 

ちなみに「とんとんみー」は

ミナミトビハゼの沖縄方言での呼び名です

こちらのサイトに

その愛嬌あるお顔の写真が掲載されていました

よろしければご覧ください

hijagawa.com