hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【いじめているきみへ】とどきますように。

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小さなサイズの絵本です。

「いじめているきみへ」

朝日新聞出版 2018年8月 第1刷) 

文 春名風花  

絵 みきぐち

どんな絵本…

いじめているきみへ

このストレートなタイトル通り

いじめている側の人たちに向けての

メッセージが書かれています。

 

図書館の特集コーナーの

背の高い絵本たちに挟まれて

ひっそりと佇んでいた絵本。

 

ちょっと手に取るのを

ためらうようなタイトルでしたが

どんなことが書かれているのか

知りたいと思いました。

 

内容から推測すると、本書は

子どもが子どもに対して行う

いじめを対象としています。

 

本文の冒頭にもありましたが

この本を現実に今いじめている人たちが

手に取ることがあるのだろうか

と、まず思いました。

 

ひらがなで書かれた短いセンテンスは

ひとつひとつの言葉をかみしめながら

相手にゆっくりと語りかけているようです。

 

前半はいじめている人のいじめる気持ちを読み解き

次にいじめられている時の

いじめられている人の気持ちを短い二行で表現。

短いですが、とても重い言葉です。

 

そして本文の後半は、いじめている人に向けて

いじめられている人と

その人を大切に思っている家族たちが

それぞれに

どんな感情を持っているか、

いじめている人と同じ人間であることを

想像してほしいと促しています。

 

イラストには

踏みつけられて薄汚れた上履きや

ボロボロになってうつむいている

ウサギのぬいぐるみが

暗く淡い水彩絵の具で描かれていて

とても悲しげです。

相手を思いやる気持ちが

なぜ損なわれるのか、

どうやったら育まれるのか。

 

本書は最後に

いじめられている人へ向けても

作者が手紙形式で文章を綴り

締めくくられています。

そこに書かれているのは

いじめられている人を

強く支えてくれる言葉たちです。

 

全ての人に手にしてほしい絵本だと

作者同様に私も思いました。

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