今週読んだ絵本は、優しい秋のお話1冊です。

「あきにであったおともだち」
作:亀岡亜希子
(文溪堂 2007年9月 初版第1刷発行)
ようやく朝晩の冷え込みに、秋の気配を感じるようになりました。今年のように暑い日が続くと、いままで当たり前だと思っていた季節の美しい変化も、いずれは「昔はこうだったのよ・・・」と語り継がれる過去のものとなるのかもしれないと思ったりします。
今月はじめに訪れた、隣県の山間にある有名温泉地へと向かう車窓から見た木々の様子は、暑さにバテて疲れたように見えました。葉っぱに元気がなく、赤く色付く前に落ちてしまいそうで心細げでした。
本作「あきにであったおともだち」の舞台は、紅葉の絨毯が敷き詰められた森の中。画面いっぱいに鮮やかな赤や黄色に色づいたモミジやイチョウの葉が舞い踊る様は、見るものの心にポッと暖かくて優しい火を灯してくれます。
主人公はオコジョのタッチィ。冬眠の準備中の仲良しくまさんのために、森へ栗やぶどうを探しにいくところです。今まで行ったことのない奥まで進んで行くと、ハーミーちゃんというひとりの少女と出会います・・・
物語全編を通して優しく微笑ましい時間が流れていきますが、ほんのちょっぴりの塩辛いエピソードが物語のエッセンスとなっています。
無邪気なオコジョのタッチィが、少女との交流を通して初めて味わうちょっと複雑な気持ちや、淡い感情を抱いた少女のためらいと不安な気持ちに、共感する読者の子どもたちも多いのでは。
作者のプロフィールには作者の目指す絵本について、こんなことが書かれていました。
読んだ人の心の奥底に、
いつまでもしまっておいてもらえるような絵本、
誰かをなつかしく思い出すように、
ふと思い出してもらえるような絵本を
描いていきたいと思っている。
もしも残念ながら今年紅葉を見るタイミングを逃してしまったら、この絵本をご覧になってみてはいかがでしょう?いつまでも心に残る美しい秋の色合いが、いつでも何度でも見ることができる様子でそこにあります。
