今週読んだ絵本は、世界中に愛されるシリーズの一作です。

「野ばらの村の秋の実り」
作・絵:ジル・バークレム
訳:こみやゆう
(出版ワークス 2021年10月25日 初版発行)
原題「Brambly Heddge: Autumn Story」(1980年)
紹介文を読むと、本作は『世界的ロングセラー「野ばらの村の物語」四季シリーズの秋のお話』とあります。13ヶ国語に翻訳されているそうです。
手にするまで私は全く知りませんでしたが、1980年に出版されてから現在に至るまで長く愛され続けている絵本です。
調べてみると作者ジル・バークレムさんの公式ホームページがありました。
美しい色合いと精密な描写を楽しむことができて、愛される理由を垣間見ることができました。最近のブログも更新されつづけていますので、よろしければご覧ください。
Brambly Hedge - Children's books and gifts
作者のことばによると、「野ばらの村」は地下鉄で大学へ通学する時間が苦手だった作者が、その苦痛から逃れるため思い描いた空想の世界から生まれました。
そこからねずみや自然を克明に観察し、膨大な記録を取り、正確さにこだわりにこだわって、一冊を仕上げるのに2年ほどをかけて作り上げた作品だそうです。
そんな細やかで真実に沿った世界観も長く世界中で愛される理由のひとつだと感じます。
主な登場ねずみさんたちは、好奇心が強くマイペースな女の子「プリムローズ」。彼女のお父さんとお母さんの「森ねずみ男爵」と「デイジィ夫人」。プリムローズの祖父母にあたる「アップルおじさん」と「アップルおばさん」。村一番のお年寄り「アイブライトおばあさん」や麦畑の草で編んだ丸い家に住む「かやねずみ」もいます。
本作は、爽やかな秋晴れの一日の出来事を、精密で味わい深いイラストとともに描いています。木の実やキイチゴやブラックベリーと秋の収穫に大忙しのねずみたちがふと気が付くと、今までそこにいたはずのプリムローズがみあたず、物語は思わぬ方向へ動き出していくのですが・・・
葉っぱの形や葉の数まで徹底的に正確さにこだわり抜いた作者のイラストにより、全編を通して実りの秋の豊かさや枯れ葉が舞い落ちる晩秋の物悲しさまで、しみじみと秋色を堪能できる絵本でした。
