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一期一会の本と日常のおはなし

【さばくのジン】こころにジンがいるときも

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ジンとは?

「さばくのジン」

福音館書店 

2017年3月1日月刊「こどものとも」発行/

2023年1月10日 第1刷)

文/新藤悦子 

絵/荒木郁代

※本作は「ことものとも アジアのおはなし 

10冊セット」のなかの1冊です。

 

どんな絵本…

英題は「DJINNS」

ジン(djinn)とはどういう意味か

知らなかったので検索してみました。

 

weblio英和和英辞書によると

ジン。アラブ世界における精霊や妖怪、魔人など超自然的な生き物の総称

また

コーランで言及されて、イスラム教徒により、地球上に生息し、人間または動物の形で現れることにより人類に影響すると信じられている見えない精神

とありました。

 

作者の新藤悦子さんは

愛知県豊橋市生まれ。

津田塾大学国際関係学科卒業。

トルコなど中近東に関する著作を多く手がける。

※本書の作者紹介より

中近東の生活や歴史等に詳しい方による絵本です。

 

どんなお話…

主人公の末っ子シャーは

とうさん、かあさん、5人のにいさんたちとともに

家族でキャラバンを生業にしています。

キャラバンは、らくだに商品となる荷物を積んで

砂漠のなかを町から町へ運ぶ隊列のこと。

 

家族にとって、砂漠で最も恐ろしいと

思われているのが「ジン」です。

ジンは砂漠にいる魔物で、砂嵐を起こしたり

キャラバンを砂漠に飲み込んでしまうのです。

 

そんな恐ろしいジンですが

かあさんが奏でるケマンチェという楽器の音を聞くと

大人しく穏やかになるのだと

とうさんはシャーに教えてくれました。

 

それを聞いたシャーはかあさんから

ケマンチェの弾き方を習い始めますが…

 

作品の魅力は…

ある時、かあさんのいないキャラバンで

代わりにケマンチェを託されたシャーが

どんなふうに恐ろしい「ジン」と

向き合っていったか

 

砂漠を表す薄茶色に染まった画面のなかで

細やかな筆づかいで描かれるのは

末っ子シャーの成長していく姿と

毛むくじゃらで鬼か獣のような「ジン」達が

ケマンチェの美しい音色によって変わっていく

けっして野蛮なだけではない様子

 

日本にいると砂漠のジンに会うことは

なかなかできないことではありますが

職場のジンや学校のジン、そしてなにより

自分の心に突如として現れるジンにも

美しい音楽の効果は当てはまりそうです。

 

ケマンチェとはどんな楽器なのか

本作を読んで音色を聞いてみたいと思いました。

www.youtube.com

www.youtube.com

(新藤悦子さんの他作品は

「いのちの木のあるところ」

「青いチューリップ」(日本児童文学者協会新人賞)

イスタンブルで猫さがし」

「アリババの猫がきいている」などがあります。)