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一期一会の本と日常のおはなし

【ぼくだってとべるんだ】ペンギンの子の願いは叶う?

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飛び方もいろいろあります。

「ぼくだってとべるんだ」

(ひさかたチャイルド 

2020年4月第1刷発行)

作・絵 フィフィ・クオ 

訳 まえざわ あきえ

作者の紹介…

文章と絵を描いた著者のフィフィ・クオさんは

台湾生まれ、台湾育ち。台湾の大学で学んだ後

ケンブリッジ・スクール・オブ・アートで

子どもの本の絵を学びました。

本作が絵本作家としてのデビュー作です。

クラウス・フリューゲ賞にもノミネートされました。

どんなお話…

ページを開くとそこは

深く澄んだ青い海と真っ白な雪で覆われた大地。

遠くの山並みまですべては白銀の世界です。

その大地の遥か遠くに小さく見えるのは

丸みを帯びた黒い背中と同じく黒色の小さな翼

それに真っ白でふっくらとした

お腹が特徴的なペンギンの群れ。

 

このお話の主人公は

その群れの中の小さなペンギンの子。

空を飛ぶカモメを見上げて、その子は思います。

ぼくも はやく おそらを とびたいな

 

カモメに聞いても

お父さんペンギンに聞いても

ペンギンは空を飛べないと言われますが

子ペンギンは諦めません。

小さな羽を一生懸命パタパタ動かして

高いところから思いっ切りジャンプします…

この作品の魅力は…

まず愛らしいペンギンのイラストに注目です。

黒と青のクレパスで粗くサラリと描かれた

素朴なイラストが優しい印象を与えてくれます。

 

冷たく寒いはずの氷と雪の世界も

この柔らかいタッチで描かれた

愛嬌のあるペンギンの顔と動作を見ているうちに

ほっこり温かなものに。

 

そして、とにかく飛びたい一心で

一生懸命な子ペンギンが可愛らしいです。

一度や二度の失敗では挫けません。

 

再び高い丘の上から飛ぼうとしますが

今度は勢いよく滑って下へ下へ。

思いっ切り大きな音を立てて

海の中へ落ちてしまします。そして…

 

本書の著者紹介欄によると、著者は

ものごとにはいくつもの側面があって、

見かたを変えると、新しい真実が見える

ことをこの作品で表現した。

とありました。

 

青と白に澄み渡る美しい世界の中で

自分の飛び方を見つける子ペンギンと一緒に

物語の中に飛び込めば

お子さんだけでなく

大人の皆さんもそれぞれの飛び方について

考えてみるきっかけになりそう。

 

いろいろなことが起こる世の中ですが

どんな未来が待っていようと

ペンギンの子のように

今自分ができることを一生懸命前向きに

取り組んでいれば、そのこと自体が

自分を支える柱となってくれると思います。