今朝のTV番組で「推し疲れ」が話題に。最近よく耳にする言葉です。好きなものに対する向き合い方は人それぞれ、今日の主人公ペニーを参考にしてみては?
「ペニーの日記 読んじゃだめ」(偕成社 1997年1月 第1刷) 著者 ロビン・クライン 訳者 安藤紀子 画家 アン・ジェイムズ
どんな本…
この物語の原書は、1983年に書かれました。今から約40年ほど前です。
けれど、書かれている内容は古びたところがありません。主人公のキャラクターのおかげでしょうか。
主人公は、馬が大好きで、馬に関することなら何にでも飛びつくぐらい「馬推し」の女の子。宝物は350枚の馬の写真カード。
10歳のペニー・ポラードは、自分の「好き」をしっかり持っている女の子です。
女の子っぽい服も人形遊びも大嫌い。ママに無理矢理着せられたピンクのワンピースを、学校のトイレでいつものジーンズと馬プリント入りトレーナーに着替えてしまうくらいです。
ある日学校の行事で老人ホームに慰問することになりますが、ペニーは絶対行きたくないって思ってます。なぜなら老人なんて「冬にぐったりしている年とった木みたいで気持ちわるい」って思っているから。
なんて本音で語る女の子なんでしょう!忖度は、全く無し。
ペニーは核家族、おじいさんおばあさんはずっと前に亡くなって、身近にお年寄りはいないようです。
仕方なくいやいや訪れた老人ホームをこっそり抜け出したペニーは、庭のベンチにひとり座っているおばあさんと出会います。
最初はただの老人にしか見えなかったおばあさんですが、話してみたら面白い馬の話が聞けて、いつのまにか意気投合しちゃいます。
おばあさんは、イーディス・ベタニー、81歳。
ベタニーさんとの交流を通して、ひとりの人の年月の重みに気づくペニーの心境の変化がユーモラスに鮮やかに描かれていきます。
ペニーの歯に絹着せぬ率直な物言いが小気味いい物語、「いい子ちゃん」じゃない、けれど自分が良いと思ったら心底優しい彼女の日記にスカッとしました。
著者は…
1936年オーストラリア南東部の農場生まれ。種々の職業を経た後、児童向け作品を創作。「テレビのすきなきょう竜くん」「翼ひろげて」でオーストラリア児童文学賞を受賞。
9人きょうだいで、馬や牛や犬などいろいろな動物に囲まれて育ったそう。本書のベタニーさんの若い頃の楽しい体験談は、著者の実体験が活かされているように感じます。
オーストラリアでは今でも人気のある、とても魅力的な、自分を持ってるカッコいい女の子のお話しです。