今週読んだ2冊のご紹介です。
まず1作目は
偶然見つけて、絵本になっていることにビックリした一冊です。
「カマラ・ハリス ちいさな女の子の願い」
作:ニッキ・グリムズ
絵:ローラ・フリーマン
訳:水島ぱぎい
(玄光社 発行日:2021年2月19日)
本作の発行は2021年。今まさに時の人、カマラ・ハリスさんですが、本作では彼女の生い立ちから2020年アメリカ合衆国の副大統領になるところまでが描かれています。一体どんな人生を歩んでこられた方なのか、大変興味を持ちました。
作者のニッキ・グリムズさんは、「ニューヨークタイムズ」紙のベストセラー作家で、児童文学遺産賞やヴァージニア・ハミルトン文学賞、コレッタ・スコット・キング賞やプリンツ名誉賞など数々の受賞歴がある方。
イラストのローラ・フリーマンさんもコレッタ・スコット・キング賞を受賞しています。長年にわたり児童書のイラストを手がけてこられた方。本作では、写実的でユーモアに富んだイラストによって表情豊かに登場人物を描いています。その時々の感情の動きを巧みに捉えて見る人を引き付けます。
作者の明確でわかりやすく、真っ直ぐに心に響く文章で表されるカマラ・ハリスさんの人生。
カマラ・ハリスさんの社会活動の始まりは、なんと赤ちゃん時代。両親と共にベビーカーに乗って公民権運動のデモに参加したりスピーチを聞きに行ったりしています。口にはおしゃぶりをくわえながら…
子どものころから、旅先で、小学校で、学童保育所で、教会で、もちろん家庭でも、生活の中のさまざまな場所で優しさや公平性や勇気や希望、そして正義を学び身に付けていく姿が丁寧に描かれていきます。
移り住んだカナダのモントリオールの団地で、小さな女の子だったカマラは妹とともにプラカードを掲げ、身近な不公平に立ち向かうこともありました。
カマラ・ハリスさんがどんな方なのか、テレビの中の映像とワイドショーの簡単な紹介コメントから得た印象しかありませんでしたが、絵本を読むとその人となりがはっきりと伝わってきました。
小さなころから弱い立場の人たちのために働くというしっかりした目的意識を持ち、自分がどうなりたいか、どうしたいか、自分の正義を実現するために努力と活動をずっと続けてきた方なのだと思いました。
絵本がおしまいに近づくころ、作者はこのように綴っています。
ドナルドとシャマラのむすめは、
いつか大統領になれるのでしょうか?
それは、神にしかわかりません。
カマラ・ハリスは今も物語をつづりつづけています。
2冊目は、改めて知りたくなった選挙について
「話したくなる 世界の選挙 ~世界の選挙をのぞいてみよう~」
監修:太田雅幸
編著:コンデックス情報研究所
(清水書院 2016年8月30日 初版印刷)
本書は、そもそも選挙って何?からはじまって、
まずは、選挙に興味をもつこと、そんな”きっかけ”になればと思い、世界の選挙にまつわる話を、誰かに「話したくなるランキング」形式で紹介していく…
(本書の「まえがき~平和で豊かな社会をつくっていくために~」より)
という目的で書かれています。
話したくなる国のランキングは17位まであります。そのなかで輝く1位は「オーストラリア」。そのあとをブラジル、中国が続きます。
国の面積や人口など、まずその国についての簡単な概要が記され、次に政治体制についての解説がなされています。
図解や表もところどころに盛り込まれ、文章も大切な箇所は太い赤字になっているので見やすくなっています。
それでは唐突ですが、ここでクイズです。
本書のなかから、私が「話したくなった」ものを3問クイズにしてみました。よかったらチャレンジしてみてください。(答えは一番下に)
1.オーストラリアの投票率は1924年以降90%を下回ったことがありません。それはなぜでしょう?
2.日本で女性の選挙権(国政レベル)が認められたのは西暦何年?
3.世界189か国の国会において、女性議員の割合が最も高い国は?
(カマラ・ハリスさんの大好きな歌 ”若く、才能があり、そして黒人”を聴きながらどうぞ)
では最後にクイズの答えを。
1の答え オーストラリアでは1924年に義務投票制度が導入され、正当な理由なくして投票しなかった場合、罰則(罰金)が科せられるようになった。
2の答え 1945(昭和20)年 ちなみに日本ではじめての衆議院議員選挙が行われた1889(明治22)年の選挙権は、25歳以上で、15円以上の税金を納めた男性にのみ付与されました。
3の答え 第1位はルワンダで女性議員の割合は57.50% 第2位がボリビア、第3位アントラ、第4位キューバ。(日本は第147位、割合11.60%、以上本書より)