hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

【くろ】白と黒で描く「あいたい」

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

全身で表現する「あいたい」です。

「くろ」

講談社の創作絵本

講談社 2022年9月 第1刷) 

作 きくちちき

どんな絵本…

白と黒

最後のページのひとつ前の場面まで

その2色のみが使われて描かれます。

 

大胆で生き生きとした筆づかいで

くろの「あいたい」気持ちを

細やかに表現しています。

 

くろ」は犬の名前

家の外に犬小屋があります。

白い首輪をしていますが

繋がれてはいないようです。

 

絵は見開きのページ一面に

あいたい」思いを募らせる

くろの瞬間の動きを捉えます。

 

嬉しい「あいたい

無邪気な「あいたい

元気いっぱいの「あいたい

 

切ない「あいたい

一生懸命な「あいたい

心細くて不安な「あいたい

 

あいたい」にもいろんな「あいたい」が。

 

文はとてもシンプルです。

ほぼ「あいたい」のみ。

 

白と黒の力強いイラストで

いろいろな「あいたい」を

伸び伸びと表現しています。

 

ページをめくるたびに

くろの心の動き、切なさや喜びが

胸に迫ってきます。

著者のプロフィールを…

著者のきくちちきさんは

1975年北海道生まれの絵本作家。

 

2012年「しろねこくろねこ」でデビュー。

同作が2013年プラチスラバ世界絵本原画展で

金のりんご賞を受賞。

2019年には「もみじのてがみ」で

同展の金牌を受賞しています。

こちらはきくちちきさんのインスタグラムです。

mot-clic #きくちちき sur Instagram • Photos et vidéos

余談ですが…

犬の外飼いがとても珍しい時代になりました。

ひと昔ほど前までは

よく通る道沿いの2軒の民家の玄関前に

この絵本のような犬小屋があって

そこで飼われている中型の犬がいましたが

それを最後に

新たに見かけることはなくなりました。

 

自由に心のままに駆けていくくろの姿に

放し飼いの犬と一緒に

小学校に登校していた同級生を思い出し

昭和ののどかな時代を懐かしく感じた

作品でもありました。

ところで

この絵本の最後の1ページのみ

もうひとつの色が使われています。

 

それはきっとくろ歓喜の色

読者もくろと一緒に

喜びに包まれるエンディングを

どうぞ楽しんでください。