今週読んだ絵本です。

「このまちのどこかに」
作:シドニー・スミス
訳:せな あいこ
(評論社 2021年1月30日初版発行)
読み終わった時、静寂さの中にほのかな温かみの余韻を残す絵本でした。
粗削りなようで味のある筆使いのイラスト。
季節は冬。描かれる画面からは凍えそうに冷たい空気が感じられます。
主人公は小学校の高学年くらいでしょうか。
赤いボンボンの付いた黄緑色のニット帽に淡いグリーンのジャケット、黄色に赤の水玉模様の長靴を履いています。首に巻いた白っぽいマフラーに顔をうずめるようにして歩く姿はとても寒そう。
主人公の何かを真剣に思いつめたような横顔や
高層ビルが立ち並び大勢の車や人が行き交う都会の雑踏、
最初はチラチラと舞うほどだった雪がページをめくるたびに街の全てを覆いつくすように吹き荒れて行く様子、
そこに、主人公が心の中で誰かに話しかけている短い言葉が添えれれて、
物語は進んで行きます。
原題は「SMALL IN THE CITY」
SMALLとは?
作者のシドニー・スミスさんはノバスコシア州生まれのカナダの絵本作家です。本作で、2019年のニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞、2020年のエズラ・ジャック・キーツ賞などを受賞しています。
こんな経験や、経験したことはなくても想像したことがある方は少なくないかもしれません。誰しもの身に身近に起こり得て、感じられる物語。
主人公の一生懸命で切ない気持ちがしみじみと伝わってくる作品です。
