雨上がりの空のように心に響く質問です。
「最初の質問」
(講談社 2013年7月 第1刷)
詩 長田 弘
絵 いせひでこ
どんな絵本…
この絵本の詩は中学3年生の国語の教科書にも
掲載されている詩人の代表作だそうです。
(だそう、そうです、私は知りませんでした。)
その多くの方がご存じであろう長田弘さんの名詩に
画家のいせひでこさんが
空の光のきらめきや新緑の輝きを
水彩の絵の具を使い透き通るような
美しいイラストで表現しています。
とても美しく、そして心に響く言葉で
いくつもの質問が読者に問いかけられます。
いつもの暮らしの中で出会う光景に
寄り添う気持ちがあると、きっと
「はい」と言える問いかけが続きます。
例えば
「………空を見上げましたか」
空は誰の上にもあります。
見上げるか見上げないかは人それぞれ。
日々をなにげなく過ごしていると
うっかり通り過ぎてしまうような、けれども
本当は大切な問かけも。
例えば
「うつくしい」と、
あなたがためらわず言えるものは何ですか。
意外にも詩人の問いかけの数々に
私は自分なりの答えがありました。
この絵本の最後の1行の問いかけは
「あなたは言葉を信じていますか。」
私は即答で「イエス」です。
自分に対して飾り立てた言葉は
残念な結果となって自分に返ってくるし
相手に対して未来への希望を込めて
投げかけた言葉は、時を経て
爽やかなそよ風となって自分にも返ってきます。
そんなことを、この1年あまりの実生活で
体験することがあり、そよ風を受けたときは
とても幸せな気持ちになりました。
この詩の言葉は
読者その人に聞こうとする気持ちがあれば
わかりやすく誰にでも届く言葉で
私たちにとって生きるために
本当に大切な問いが詰まっている詩だと思います。
折に触れてこの絵本を手に取って
その問いに対する自分の答えを
探してみるのもよいかもしれません。