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一期一会の本と日常のおはなし

【りすとかえるのあめのたび】雨の日に旅したくなる絵本

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明日は雨の予報です。

「りすとかえるのあめのたび」

BL出版 2022年7月 第1刷)

作 うえだまこと

どんな絵本…

大きな画面に主人公のふたり

りすくんかえるくんが小さく描かれています。

 

雨の日の

少ししずんだ感じのブルーと

薄いグレーが画面全体を包みます。

 

そこに、白く光る雨のしずくが

ぽつんぽつんと音を立てて

ひとすじふたすじみすじ…と

細い筋になって降っています。

 

淡い水彩画の

柔らかな森の情景のなかで

ちょこんと小さく佇む

りすくんとかえるくんに流れる

優しい時間が穏やかに描かれていきます。

 

どんな内容…

雨の日といえば

どんなイメージを浮かべますか。

 

雨の日に旅に出かけるとしたら

うれしい?それともうれしくない?

 

傘が必要になるし

服が濡れるかもしれないし…

ちょっと残念に思う人が多いかもしれませんが

このお話を読んだら、そんな気持ちが変わるかも。

 

友だちのかえるくん

旅にでかける約束をしていたりすくん

 

赤いマフラーをした薄灰色のりすくんが、

森の中、静かに流れる川辺に立つ

大きな木の幹の真ん中の

丸い穴から外を眺めています。

 

りすくん

こんな雨降りじゃ旅には行けない

と思っていると

かえるくんが小舟に乗ってやってきました。

 

緑色のからだに

赤と紺のストライプのTシャツが

よく似合っています。

 

残念そうに雨だからと言うりすくん

かえるくんは全く逆の返事をします。

 

かえるくんのこの返事がとてもステキです。

雨のイメージをガラッと変えてしまします。

 

かえるくんの小舟に乗って出発するふたり。

 

りすくんは雨の日の旅で新しい発見をします。

雨の旅には雨の旅でしか味わえない

素敵な瞬間があることに気づくのです。

 

最初から最後まで、少し離れたところから

ふたりの旅を眺めるような画面構成。

ずっと、小さいサイズのりすくんかえるくん

 

風が強くなった小舟の上で

りすくんがひとりになるシーンでは

太筆の水彩絵の具の波のような動きが

心細げな様子を表していたり

筆のタッチで情景を巧みに表現しています。

 

作者について…

本書の紹介文によると文と絵を描いた

作者のうえだまこと(植田真)さんは、

1973年静岡県生まれ。

絵本や装画を多く手がけるほか

絵画制作、ライブペインティング、

音楽など幅広く活動

とあります。現在は神戸在住

こちらのサイトに近況のわかる

作者のインタビュー記事が掲載されています。

絵本に対する考えや

本書についてもお話されています。

kobecco.hpg.co.jp