ロンドンのクリスマス、どんな感じなんでしょうか。行ってみたい。
「アンジェリーナのクリスマス」
(講談社 2004年10月第1刷)
文 キャサリン・ホラバード
絵 ヘレン・クレイグ
訳 おかだ よしえ
この絵本は、世界で愛されている「アンジェリーナ バレリーナ」シリーズの一作。
このシリーズは、1983年に第1作「アンジェリーナ バレリーナ」が出版されて以降、現在に至るまで20作以上の本が出版されています。
本書はその4番目に出版されました。
主人公は、バレエを踊るのが大好きな可愛らしいねずみのアンジェリーナ。
フルネームは、アンジェリーナ・ジャネット・マウスリング。
1920年代のロンドンに似た場所であるチッピング チェダーを舞台にした心温まる物語です。
どんなストーリー…
もうすぐクリスマス。
アンジェリーナは学校のクリスマス会で踊るバレエの練習をしています。
帰り道、どの家もクリスマスの飾り付けで明るいのに、一軒だけ暗くて寂しそうな家を見つけました。
家に戻り、おかあさんにそのことを話すと、ひとりぼっちのおじいさんねずみベルさんだとわかります。
アンジェリーナはおかあさんにお願いし、いとこの小さなヘンリーと一緒にクッキーを焼いて、ベルさんに届けることに、、、
細やかで優しい思いやりをもつアンジェリーナが、ひとりぼっちのベルさんに届けたのはクッキーだけではありませんでした。それはみんなを笑顔にする大きな大きなプレゼントでした…
この絵本の魅力は…
明るく優しいアンジェリーナは、活発ではっきりしている面もあります。
小さなヘンリーが駄々をこねればビシッと𠮟りつけます。
感情豊かな登場キャラクターの表情が生き生きとしています。
およそ100年前のロンドン風の街並みや生活風景も丁寧に描かれていて、クリスマス前のとても味わいある雰囲気を醸し出しています。
煙突から煙の昇る家々、暖かな暖炉のあるリビング、ヒイラギ飾りを施したキッチン。
ねずみさんたちが着ている衣装にも注目です。
レモン色、ピンク、藤色、水色、バラ色…品のある優しい色とりどりのバレエ衣装、
アンジェリーナのお父さんが着る落ち着いた色合いの茶色、
お母さんのエプロンの小さな青い模様、
細部まで描き込まれた絵が物語に深みを与えています。
著者について…
作者のキャサリン・ホラバードさんは1948年アメリカ合衆国生まれ。
本書のシリーズと、トゥインクルシリーズが最も有名です。
アンジェリーナバレリーナはテレビアニメ化され、数々の賞を受賞しました。
こちらは、作者の公式ウェブサイトです。
画家のヘレン・クレイグさんは、1934年イギリス・ロンドン生まれ。
児童書のイラストレーターであり作家です。
ご本人出演で制作作品を紹介しているサイトです。
イラストが描かれる過程が詳細に掲載されていて見応えがあります。