街中のイルミネーションがきれいです。
「くつしたをかくせ」(光文社 2003年11月 初版) 文 乙一 絵 羽住都
今日の絵本は乙一さんによるもの。
だいぶ前から名前はたびたび目にしますが、まだ作品を読んだことはありません。
どんな方なんだろうと、ウィキペディアを見ると創作活動の多さにびっくりしました。
どんな絵本…
本書は著者による初めての絵本です。テーマはクリスマス。
縦17cm×横18。5cm×厚さ1cmほどの小さな可愛らしい絵本です。
物語はクリスマスの前のこと。
夜になると大人たちが子どもに向かって告げます。
「サンタがくるぞ!くつしたをかくせ!」
大人たちは、なにか恐ろしいことでも起こるかのようにおびえながら、そう言います。
大人たちの言葉に従って、いろいろな国の子どもたちが、いろいろな場所にくつしたを隠すのですが…
物語は簡単な言葉・短い文章で書かれていて、著者による「あとがき」のほうが長いくらいです。
日本語の文章に、英語の文章が併記されていますので、英語の学習にも。
淡い色合いの水彩で描かれたような、ノスタルジックで異国情緒を感じる絵が、夢のある物語の雰囲気を醸し出しています。
あとがきによると「神様を作品の中にどうやって表現するのか」というのが今回の絵本のテーマでもあります。
テーマも気にしつつ読んでみると、また違った景色が見えてきます。
著者について…
著者は、1978年福岡県生まれ。1996年17歳のとき、第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞した『夏と花火と私の死体』でデビュー。
山白朝子、中田永一、枕木憂士、安達寛高(本名)と、ほかの複数のペンネームでも小説を執筆したり映画監督や脚本を制作しています。
著者インタビューによると、思春期は人と関わることが苦手だったとのこと。小説家を目指したきっかけは、社会に出ていくのが不安だったので、ひとりでできるような手に職をつけたかったからとあります。
多数の書籍や映画製作から、労なく作品を生み出す多才な方なのかと思いましたが、若くしてのデビュー後、小説の書き方がわからなくて苦しんだ時期もありました。一冊の本との出会いが突破口になったと語っています。
画家は、1975年栃木県生まれ。高校のデザイン科を卒業後、アルバイトを経て、雑誌のイラストコーナー投稿をきっかけに挿絵画家としてデビュー。繊細で緻密な画風で人気。無類の鳥好きさんとのこと。
こんなおススメポイントも…
本書のあとがきには、この絵本制作のきっかけが書かれていますが、子どもの夢を壊すので、「あとがき」部分は糊で貼り付けて大人になるまで読ませないでほしいそうです。
著者本人によるプロフィールも面白いので、最後の最後まで読んでいただきたいです。
著者について調べていくうちにたどり着いたインタビュー記事。著者の人となりや小説を書く上での向き合い方がよくわかり、その作品を読んでみたいと思うようになりました。