2019年のデータによると「日本国内で生産されるジャガイモの17.6%が、ポテトチップスに加工されている」そう。100グラムあたりのエネルギーは554カロリー!
「せかいで さいしょの ポットチップス」(BL出版 2018年5月 第1刷) 文 アン・ルノー 絵 フェリシタ・サラ 訳 千葉 茂樹
世界で最初にポテトチップスを作ったのは誰?
いろいろな説があって正確にはわかっていないようですが、本書は、
その土地の郷土史家や博物館の学芸員、そして「ポテトチップス史の研究家」にも取材して、ポテトチップス発明者の伝説をもとに創作されました。
「ポテトチップス研究家」さんがいるんですね!
本書は、ポテトチップの最も有名な伝説をちょっとスパイシーに味付けしたもの。
それは1853年のアメリカ。ポテトチップスを発明したのは、ニューヨーク州サラトガ・スプリングズのレストラン「ムーンズ・レイク・レストラン」で働いていた、その名はジョージ・クラム。
その発明は偶然でした。
ある日、クラムが作ったフライド・ポテトを「分厚過ぎて生煮え」と二度も突き返した客がいました。クラムはその客に、いたずら心か腹立ちまぎれか、紙のように薄くスライスして、パリパリになるまで油で揚げ、塩を振ったポテトを出しました。
突き返されるだろうと思ったそのポテト、意外にも口うるさいその客に大うけしたのです。その料理は評判を呼び、大勢の人がそのポテト目当てで押し掛けるように。
そして数年後、そのポテトはサラトガ・チップスと呼ばれるようになっていたのです。
本書の魅力…
まず、1980年代当時の雰囲気を醸し出す、陽気で愉快な絵が魅力的です。
クラムのレストランが舞台。
読者はクラムが料理するキッチンを正面から見ることになります。
そしてお客さんたちが集うフロアは満席。みんな思い思いにドレスアップしています。当時の衣装を眺めるのも楽しみのひとつです。
クラムだけでなく、ウエイトレスのグラディス、そしてある意味この人がいなければポテトチップスは誕生しなかった⁈陰の功労者、口うるさいお客のフィルバート・パンクティリアス・ホースフェザーズも魅力あるキャラクターとして描かれています。
作者について…
文章を手がけたアン・ルソーは、子供向けのノンフィクションや、実在した人物や出来事をもとにした作品を数多く手がけています。
画家のフェリシタ・サラは、オーストラリア育ちで、大学を卒業後イタリアに移住。独学でイラストを学び、絵本とアニメーションの分野で活躍しています。
きっと誰にでもお気に入りのポテトチップスがあるのでは?
あるメーカーのポテトチップスは、年間約100種類の味が発売されているそうです。遠い日本でこんなに大人気なんて、クラムさんもびっくりしてるかも。