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一期一会の本と日常のおはなし

こどもによるこどものためのこどものひの絵本

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「こどもの日」は世界各国にあります。日本や韓国は5月5日、スウェーデンは10月の第一月曜日。「国際子供の日」(6月1日)や「世界のこどもの日」(11月20日)も。

 

「やかましむら の こどもの日」(偕成社 1983年7月 第1刷) 作者 アストリッド・リンドグレーン  画家 イロン・ヴィークランド  訳者 山内清子

 

どんなストーリー…

本書は「やかまし村シリーズ」の中の一作。私は知らなかったのですが、検索してみると「やかまし村」は知る人ぞ知る、とても有名な村。実際にモデルとなった場所は今もそこにあるそうです。

 

大きな木立に囲まれた敷地に、三軒の家が並んで建っています。一軒ごとの家の周りには木の板でできた塀があり、全体をぐるっと取り囲んでいます。

それぞれの家は、似たような形をしています。二階建ての屋根には二つの四角い煙突、屋根付きの玄関前ステップ、家の前には広い庭。この三軒仲良く並んだ家をまとめて「やかましむら」と呼んでいるようです。

 

それぞれの家には小学校1,2年生くらいの子どもたちが合わせて6人住んでいます。

北の家にはブリッタとアンナ、

真ん中の家にはラッセとボッセと本の語り手でもある「わたし」(リーサ)

南の家にはオッレとシャスティー

あれ、ひとり多いですね。実はシャスティーンはまだ2歳の子ども。なので、わたしたちにとっては、「ひとり」ではなく「はんぶん」なのです。

正確には6人と「はんぶん」の子どもたちの物語です。

こどもによるこどものためのこどものひを制定…

ある日ラッセが新聞で見つけた「ストックホルムのこどもの日」を真似て、6人の子どもたちは小さいシャスティーンのために「やかましむらのこどもの日」を作ることに。シャスティーンを喜ばせるためには何をしたらよいのか。6人はあれこれ考え、いろんなことを思いついてはシャスティーンに試してみるのです。

 

こどもの豊かな発想力、そして無茶苦茶っぷりが、面白おかしく描かれていきます。無邪気な子どもたち、やることに限界がありません。ときどき登場するシャスティーンのお母さんは大慌てです。

はたして6人の「やかましむらのこどもの日」はシャスティーンを楽しませることができるでしょうか。

著者について…

作者のリンドグレーンは1907年スウェーデン生まれ。国際アンデルセン賞作家賞等、多くの文学賞を受け、もっとも子どもの心をとらえているといわれる、世界的な童話作家。代表作に「長くつ下のピッピ」があります。本書も国際アンデルセン賞作家賞を受賞。「やかまし村シリーズ」も大変愛されている作品です。2002年没。

 

画家のヴィークランドは1930年エストニア生まれ。スウェーデンで絵を学んだ。「ロッタちゃんのひっこし」や「ちいさいロッタちゃん」等リンドグレーンとコンビの作品が多い。

 

小さなシャスティーンを楽しませようとしていたら、いつの間にか自分たちが熱中して遊んでいたり。子どもたちが、自ら作った子どもの日で楽しむ姿が微笑ましい物語です。

 

映画化もされたり、やかまし村症候群なる言葉もあるほど人気のシリーズ、次は最初から読んでみたくなりました。