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一期一会の本と日常のおはなし

人差し指の王様

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週末になると、ちょっとホッとします。早朝降っていた雨が止み、雲の切れ間から青空が見えてきました。

「ちいさなちいさな王様」(講談社 1996年10月 第1刷) 作者 アクセル・ハッケ  絵 ミヒャエル・ゾーヴァ  訳 那須田淳・木本栄

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どんなストーリー…

ちいさなちいさな王様は、主人公「僕」の本棚と部屋の壁のあいだにできた細いすきまからやってきます。帰っていくときも同じ。いつも気まぐれに現れます。

王様は、僕の人差し指くらいの大きさだけど、マントがはちきれそうなくらい太っています。大好物は、グミベアー、ドイツの子どもならだれでも知っているクマの形をしたグミキャンディー菓子です。

生まれたときが一番大きくて、だんだん縮んていく、それにつれて記憶もだんだん薄くなっていく王様と人間の「僕」の物語です。

本書は5つの短編から構成されています。そのタイトルが

  1. 大きくなると小さくなる
  2. 眠っているときに起きている
  3. 存在しないものが存在する
  4. 命の終わりは永遠のはじまり
  5. 忘れていても覚えている

短いけれど奥が深いお話し、まだ未読であれば秋の夜長にじっくり。

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どんな印象…

「きっと、小さな王様が欠けてさびしい思いをしている人が、世の中には、本当はもっとたくさんいるんだよ。ただ、そのことに気がついていないだけで」

 

以前話題になったことのある本書です。読まれた方もいらっしゃるのでは。私は当時は書店の平台に並んだ表紙をながめただけでした。

今回はじめて読んでみて、ふと思いついた印象が、「自分探し」。最近は、あまりよい意味で使われなかったりもする言葉ですが。

主人公「僕」は、ちいさなちいさな王様との対話を通して、時間や空間や日常、命、記憶などについて、同じ物事でも見方によって違うとらえ方ができることに気づいていきます。

ちいさなちいさな王様が一緒だと、普段は見えないものが見えてきます。

 

著者について…

アクセル・ハッケは、1956年ドイツ・ブラウンシュヴァイク生まれ。南ドイツ新聞の週刊マガジンのコラムニストも務める。本書は、著者のベストセラー小説です。ほかの作品に「クマの名前は日曜日」や「僕が神さまと過ごした日々」など。

ミヒャエル・ゾーヴァは、1945年ドイツ・ベルリン生まれ。動物などを、ユーモラスに描いた緻密な画風で知られる画家・イラストレーター。「ひみつのプクプクハイム村」(講談社)は、ゾーヴァ初めての創作絵本。「思いがけない贈り物」の挿絵も。

tokinoakari.hatenablog.com

星に願いを…

皆さんは夜空の星を見上げたら、どんな気持ちになりますか。

主人公「僕」は「自分がひどくちっぽけで、無意味なものに感じる」と言います。

でも小さな王様は違います。真逆です。

そして星について、延いては命について語り合います。

私も、星については王様の考えに一票を投じたいと思います。

 

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