hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

ワタシのまざあ・ぐうす

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今朝も寒い日曜日。急激な気温の変化、衣替えまだなんですが、どうしたらいいものか迷います。

「あたしのまざあ・ぐうす」(冨山房インターナショナル 2011年5月 第1刷) 絵 ふくだじゅんこ 訳 北原白秋

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どんな本かな…

マザー・グース」。

イギリスで古くから口誦によって伝承されてきた童謡や歌謡の総称で通称。

なぞなぞ、しりとり、早口ことば、子守唄や文字あそびなどに風刺やユーモアが盛り込まれたもの。「ロンドン橋おちた」や「きらきら星」「メリーさんのひつじ」は日本でもお馴染みの童謡です。

 

ご存じの方も多いと思いますし、詳しく知らなくてもマザー・グースという言葉は聞いたことがある方がほとんどでは。ちなみに私は後者です。

 

本書は、絵本作家のふくだじゅんこが、18編の「マザー・グース」の童謡にインスピレーションを得て制作したイラストレーション集です。

独特の不思議な世界観、マザー・グースの童謡のなかに隠れこんだ、微かな毒のようなものを感じさせるイラストレーションが魅力的です。

イラストレーションのなかに、原語の英語の童謡が組み込まれていて、ますます謎めいて見えます。

 

なぜか、何度も繰り返しみたくなってしまう。

 

それは、どこにでもある短く分りやすい単語で書かれているのに、なぜか、不思議で怪しげな空気を潜ませているマザー・グースの童謡と一体化しているからでしょうか。

www.amazon.co.jp

訳者について…

1ページの見開きに併記されている日本語訳は、日本にマザー・グースを本格的に紹介したとされる北原白秋の「まざあ・ぐうす」のもの。

 

知っているようで知らない北原白秋、この機会に人となりを調べてみると、なにがあっても文学への情熱が途絶えなかった波乱万丈の人生。こちらのサイトで勉強しました。

tankaness.com

ワタシの⁈まざあ・ぐうす…

白秋訳に出てくる「こうもり傘」、最近はあまり使われなくなった呼び名が気になって、一遍マネして訳してみました。

原語 「A DOG AND A CAT」

A Dog and a cat went out together.

To see some friends just out of the town;

Said the cat to the dog,

"What d'ye think of the weather?"

"I think,ma'am,the rain will come down-

But don't be alarmed,for I've an umbrella

That will shelter us both,”said this amiable fellow.

 

北原白秋 訳 「雨もよう」

いぬとねこがお友達にあいに、

ちょいと、街からつれだってまいる。

ねこがもうします。

「お天気はどうでしょね」

いぬがもうします。

「さようさ、おくさんぇ、雨がふりそでござんすが、

御心配はいりません、てまえがこうもり傘もってますでな。

そのときゃごいっしょに、相合傘とはいかがでしょ」

 

珍訳 「わんたとにゃんこ」

わんたと にゃんこが でかけたよ。

まちのそと

みんなにあいに でかけたよ。

わんたに にゃんこが ききました。

「あめが ふったら どうしよう。」

わんたが にゃんこに こたえたよ。

「ふってくるとは おもうけど

こわがることは ないよ」って。

しんせつわんこは いいました、

「ぼくのかさが あるからね

いっしょに はいれば だいじょうぶ。」

 

…ただ、かわいいだけになってしまいました。

この絵本のイラストレーションから彷彿とさせる、ふたりの微妙な関係性を全く入れ込むことができず、文豪の偉大さを再認識しました。