hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

山のびょういんへ

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今頃になって、真夏よりもよく蚊に刺されます。彼女らも猛暑でじっとしていたのが、涼しくなって活動的になっているようです。

どこかのテレビ番組で、刺される回数が増えるほどかゆみが増すと聞きました。ほんとう?困ったなぁ。

「くもとり山のイノシシびょういん 7つのおはなし」(福音館書店 2021年1月初版) 文 かこさとし(加古 里子) 絵 かこさとし・なかじまかめい(中島 加名)

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イノシシ先生とうさぎの看護師さん…

読み聞かせなら4歳、自分で読むなら小学校初級からとあります。易しい言葉で書かれていますし、イノシシ先生と患者さんの診察のやりとりが楽しい。

どの患者さんの病気もイノシシ先生の治療でバッチリ回復するので微笑ましい物語。

7つのタイトルがかわいいです。

  • ポンちゃんのポンポ
  • あいた、あいたのヤギばあちゃん
  • クチュンクチョンのカマキリさん
  • ウルシガ森のクマどんのこと
  • 石だんからおちたシカどんのきず
  • ないたヤマセミくん
  • きゅうきゅう車

ポンちゃんのお腹が痛くなった理由や、クマどんのおしりの腫れた原因も楽しいので、小さい子が笑いながら読めそうです。

大人目線としては、ケガの理由に見栄を張ったシカどんに共感しちゃうかも?

著者のプロフィール…

1926年福井県生まれ。東京大学工学部卒、民間企業の研究所に勤務しながら、セツルメント活動、児童文化活動に従事する。

「だるまちゃんとてんぐちゃん」「マトリョーシカちゃん」「かわ」「宇宙」「秋」など児童書は600冊にのぼる。本書は月刊雑誌「母の友」に2011年から2019年まで掲載された創作をまとめたものです。2018年、逝去。

初めてしりました…

セツルメント運動(活動)という言葉の意味を今まで知りませんでした。

セツルメント(settlement)とは「移住」の意味で、この場合正確には「ソーシャル・セツルメント」であり、隣保館などど訳される。

セツルメント活動については、様々なサイトでの説明がありました。なかでもわかりやすいかと思われる説明を引用します。

セツルメント運動とは、知識人や学生、宗教家たちが、スラム街などの貧しい地域へ移住し、社会的に弱い立場にある人たちやその家族と生活を共にしながら、生活に困っている人々を教育したり、自立するための手助けをすること。

1984年イギリス・ロンドンのスラムにつくられたセツルメント・ハウス「トインビー・ホール(Toynbee Hall)」がはじまりとされる。

歴史のある活動なのですね。本書の本流からは離れましたが、私にとってはこの言葉も、この本に出会って得られた貴重な知識となりました。

挿絵を描いた中島加名は著者の実の孫。祖父と孫娘のコラボレーションも素敵です。

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