バランス良くって難しい。靴底の偏った擦り減りを見ながら、ふと。自分では真っ直ぐ歩いているつもりなのに。
今日の一冊は、
「クマのプーさん フィットネス・ブック」(筑摩書房・ちくま文庫 2022年5月 第1刷) 原案 A.A.ミルン 絵 E.H.シェパード 訳 高橋早苗
フィットネスとは…
「健康状態が良好に保たれている」という意味だそうです。知らなかった、運動することだと完全に誤解していました。私のなかでのプーさんの名言ナンバーワンは「なにもしないをしよう」なので、フィットネス・ブックは意外でしたが、それなら納得です。
本書は、「第1部プーのフィットネス物語」と「第2部イーヨーのちっぽけなぐちばなし」、それに訳者のあとがき、安達まみさんの解説と辛酸なめ子さんのエッセイで構成されています。
プーさんによるフィットネスは、ウオームアップからクロストレーニングやエアロビクスと本格的、最後はクールダウンで締めくくられていますが、最初から最後まで、全体がゆるーいです。激しいエクササイズは一切なし。
例を挙げると、戸棚のいちばん上にあるハチミツのつぼに手をのばすのがストレッチだったり、歩くかわりにどこへでもジャンプして行けばそれが運動代わりになる、など。運動するぞと身構えなくても、いつでもどこでもできそうな気がしてきました。
イーヨーのぼやき節…
後半第2部は、イーヨー独特の愚痴が炸裂します。百町森でそれなりにやっていけているイーヨーを見ていると、思っていることを心のなかにため込まず、言葉にして吐き出すことも、ひとつのフィットネス法かも。
それにしても、次々出てくる愚痴言葉の数々は、どれも見事に後ろ向きです。ここまで徹底すると、逆に潔さを感じます。無理やり気持ちを上げることなんて必要ない、そう思ってるときはそのままそれを言葉にして、それ以上でもそれ以下でもなく、ただそこに漂っていればいいのだと言われている感じ。イーヨー曰く、
たとえ、川のどん底にしずんでも、「これはたちのわるいいたずらか、それとも、たんなる事故だろうか」などと、かんがえないことにしましょう。水面まで浮き上がって、「ぬれた」と思うだけでいいんです。
MYフィットネスを考案…
プーさんならではのフィットネス「木のぼり」や「ひものぼり」、「マツボックリや棒きれをひろう」そして「風船で空をとぶ」(バルーン・グライディング)は、魅力的ですが実行するのは難しそう。そこで自分流フィットネスを考えてみました。
- トイレに行くときは、つま先立ちで。
- 歯磨きしながら、かかとの上げ下げ30回。
- 思い出したら、おおまたで歩く。
- スーパーの駐車場は、入口から一番遠いところに停める。
- 嫌な人に会ったら、名曲「二人でお酒を」のはじめのフレーズを歌う。(但し、誰もいないところで)