hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

夏の終わりに

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台風の影響もあり、今週はまだ暑さが続いてはおりますが…

今年も、「こんなに暑い日が続いたら、秋は来ないんじゃないか?」と毎日ぶうぶう言っていたのに、やっぱり秋の気配が。夏がだんだん去っていくのを感じます。

今日は、そんな気分のときに目に飛び込んできた一冊

「 夏平くん 」(絵本館 2007年6月初版) 作 あおきひろえ

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主人公にはモデルがいた!…

作者のコメントによると、この作品は小学校時代の同級生のことを思い出しながらつくった絵本だそう。名前もそのまま、実在するモデルがいたんですね。

やんちゃで、やることなすこと無茶苦茶な、でも愛嬌たっぷりで憎めない男の子、今どんな大人になっているんでしょうか、気になる!

表紙のタイトルの文字は、作者の当時幼稚園児だった三男の息子さんが書いたものです。どうりで無邪気な印象が。文字としてではなく図を書き写すようにして書いたのでしょうか。

このお話しは、夏平くんの近所に住む同級生の女の子の目線で語られていきます。夏平くんの起こすドタバタ騒動に巻き込まれ、女の子の立場としてはちょっと迷惑そう。

 

そして元気いっぱいの絵。俯瞰で描かれた町内の家々や小学校の校庭の運動会の食事場面は、細かなところまで注目すると楽しいです。ニワトリを追いかけるおじさん、運動会の家族それぞれのお弁当の中身、そういえばお祖母さんも来てたなぁ…

私にとって小学校時代は、だいぶ遠いものとなっていましたが、久しぶりに当時のあれこれを思い出しました。走るのが遅くて運動会は嫌いだったこととか。

言葉では何も語られていませんが、この運動会の食事場面はけっこう重要かも。それとも考え過ぎかな?

作者のプロフィール…

1963年、愛知県豊橋市生まれ。美大を卒業後イラストレーターとして活躍。子育てが落ち着いたころから「子どもの頃、感じていたことやあこがれ」を題材に多数の絵本を制作されています。。デビュー作は「パパとぼく」。大川亭ひろ絵という高座名で出前寄席の活動もされているそうです。

自由奔放バンザーイ…

夏平くんは、明るく元気で超マイペースな男の子です。先生に怒られても廊下に立たされても、ワハハハーーーと笑い飛ばしてしまいます。楽しく愉快な夏平くんですが、そんな夏平くんにも泣き所があって…

私がこの作品で一番好きなところは、ラストシーン。夏平くんに起きたある出来事が、「あぁ、夏の終わりってこんな気持ちになるよなぁ」って思わせる、ちょっと切ない締めくくりとなっています。まさに季節の変わり目の今の気持ちと重なりました。

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