hon de honwaka

一期一会の本と日常のおはなし

まじめでやさしい悪魔の子

当ブログではアフェリエイト広告を利用しています

今日から9月…9月の別名は有名なところだと長月、ほかにも彩月、菊月、紅葉月、竹酔月など秋の気配を感じてどれもステキ。

 

さて今日の一冊は、

「地獄の悪魔 アスモデウス」(あすなろ書房 2000年3月初版)

 作者 ウルフ・スタルク  絵 アンナ・へグルンド 訳 菱木 晃子

f:id:tokinoakari:20220829185914j:image

どんなお話しかというと…

表紙向かって左側の男の子が、主人公の悪魔の息子アスモデウス。なんだか悪くて強そうな名前ですが、完全に名前負けしてます。暴れたこともなければ、誰かをいじめたこともないアスモデウスの父親は地獄の支配者。立派な悪魔になるために、父親は息子に「地上の人間をたぶらかし魂をうばってくるよう」にと命令します。

アスモデウスは父親の言いつけを必死で守ろうとしますが、性格の良さが災いして失敗の連続…

意外とリアルな地獄シーンに…

ちょっとびっくり。物語前半にでてくる地獄の食卓を囲む悪魔たちや、地獄に落ちた人間が罰を受ける描写が結構グロテスクでキモカワなので必見です。壁にかかる絵画など背景の細かなところまで観察すると楽しいです。

作者のプロフィール…

ウルフ・スタルクは、1944年生まれのスウェーデンの人気児童文学作家。1993年アストリッド・リンドグレン賞を受賞。1994年には「おじいちゃんの口笛」でドイツ児童文学賞を受賞しています。同じく絵を描いたアンナ・へグルンドもスウェーデン出身の人気イラストレーターです。

おとなしくていじめられっ子のアスモデウスは…

地獄だけでなく地上の人間の子供たちにまでいじめられてしまいます。なかなかうまくいかなくて落ち込みながらも、最後まで一生懸命父の命令を守ろうとします。

読み進めるうちに、健気でマイペースでどんなときでも優しさを失わないアスモデウス、ブタの鼻に小さな角、細長い尻尾をもつ彼が、だんだんかわいくなってきます。

目的が目的だけに応援していいものか迷いますが、こんなに愛嬌のある悪魔なら会ってみたいと思います。そして、前半に語られる地獄での生活が面白い。地獄でほめられる行いは人間界とは真逆、思わずクスクス笑ってしまいます。

www.amazon.co.jp

「アスモデウス」(Asmodeus)とは…

ユダヤ教キリスト教の悪魔のひとりで、旧約聖書外典の「トビト記」などに登場するそう。実在(?)する悪魔の名前なんですね。

グーグルを検索して出てきた肖像画はどれも、本作のアスモデウスとは大違いの非常に恐ろしい姿形をしていました。これはこれで見応えあります。古くから小説や劇など様々な文学作品に登場する有名悪魔のようでした。

9月1日は防災の日。折しも台風が近づいていますが、被害なく遠ざかってくれるとよいです。本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。