昨夜からの強い雨が、今朝は少し小降りになってきました。一雨ごとに秋が近づいていますね。
今日はこちらの本をご紹介します。
「木はいいなあ」(偕成社 1976年4月 日本初版)
作者 ユードリイ 絵 マーク=シーモント 訳 西園寺 祥子
どんなお話し?…
まさにタイトルそのままに、「木」の素晴らしさについて書かれた本です。この本は1956年、なんと今からおよそ66年前に書かれました。
一本の木に、林に、森に、たわわに実ったリンゴの木や、木陰で、落ち葉と、登ったり、隠れたり…木が人の生活に与えてくれる喜び、木への賛辞が真っ直ぐな言葉で表現されています。
描いた画家のシーモントは…
「この素直に木のすばらしさを表現した作品についていったら、自然に絵を描けた」とのこと。時にダイナミックに、時に繊細に、大木の太い幹がたくましくのびる姿や小さな若木の生命力を描いています。
縦長の絵本が、まっすぐな木の幹の堂々と空に向かって伸びる様子を印象強く伝えてくれています。
シカゴ市の保育園に勤めていた作者は…
ここで絵本の楽しさ大切さを知り、作品を書くようになります。1928年イリノイ州のいなか町に生まれたユードリイ。この本には、「都市化により子供と自然との生活が失われていくのを嘆き、作者自身が幼い日に経験した木との素晴らしい生活を味わってほしいという願い」が込められています。
短いセンテンス、分かりやすい言葉で書かれていますので、小さなお子さんにも作者の意図が伝わりやすいと思います。1957年にコルデコット賞を受賞。
英語の題名が気になって…
調べてみたところ「A TREE IS NICE」でした。日本語で「木はいいなあ」とはさすが、ナイスですね。66年前のアメリカで都市化の影響が心配されていたことも初めて知りました。それから現在に至るまでますます都市化は進み、日本でも自然との付き合い方を見直す時期にきています。
読後、木の大切さを改めて考える機会になりました。この本では、少女が小さな苗木を植えるシーンで物語が締めくくられています。少女と苗木が、すくすくと成長しますように。
写真の鷽鳥(うそどり)は…
向かって右が冬の鷽鳥、左が春の鷽鳥です。悪しき事の起こりを全てうそどりが身代わりとなって「嘘」にし、良き事に替えてくれるそう。ひとつひとつ手作りの木彫りで、お顔が微妙に違います。江戸時代のはじめ頃から始まったといわれるうそどりは、木と人との神聖な係わりのひとつかと思い、本と一緒に撮影しました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。今日も良い一日になりますように。